[1]プロジェクトマネジメント・フレームワーク

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プロジェクトとは?

プロジェクトの定義と特徴

プロジェクトの定義は、「独自の製品やサービスを創造するために実施する、有期的な業務」と定義されている。

プロジェクトの特徴は、「有期性」と「独自性」があることである。

プロジェクトは時間の経過とともにプロジェクトの内容が具体化されていき、「段階的詳細化」で計画が詳細になっていく。

プロジェクトの「有期性」

プロジェクトの有期性とは、プロジェクトには期間が必ず定められるということを意味する。プロジェクトの開始日と終了日が必ず決められており、期間の長さは関係しない。
つまり、プロジェクトの定義は「有期性」があることのため、開始日と終了日が決められていれば、1日で終わるプロジェクトも存在する。

例えば、営業の開始日と終了日が明確に決められていない店舗の営業は、プロジェクトの有期性の定義を満たさないため、プロジェクトにはならない。毎日、店舗を営業するといった繰り返し継続的に行われる行為は、定常業務と呼ぶ。

プロジェクトの「独自性」

プロジェクトの独自性とは、プロジェクトと定義されるものすべてに、同じものがない、という意味のことである。

例えば、食品会社で新製品Aのお菓子と新製品Bのアイスを作るというプロジェクトができたとする。

新製品Aを作るプロジェクトは、2019年5月1日~5月31日、メンバーはCさん。新製品Bを作るプロジェクトは、2019年5月1日~5月31日、メンバーはDさん。

新製品Aのプロジェクトには、Cさんが作成を担当し、新製品BのプロジェクトにはDさんが作成を担当する、というように、製品別にプロジェクトがつくられる。期間は一緒でも、作るもの(A,B)は異なり、メンバー(C,D)も異なる。

このように、製品やサービスを作るプロジェクトには、同じもの・同じ人がかかわることはなく、これをプロジェクトの独自性と呼んでいる。

プロジェクトの段階的詳細化

プロジェクトの開始時には、プロジェクトの作業内容はあいまいである。
プロジェクトを開始して時間を経過すると、作業工程が進んでいき、
プロジェクトの中で行うべき作業内容が徐々に明確になっていく。

そうすると、作業の見積もりも細かくできるようになり、
どの作業がいつ終わるのか?の見通しが正確になっていく。
「プロジェクトの段階的詳細化」とは、プロジェクトとしての計画自体も
徐々に詳細化できていくという意味である。

上記の図を例にすると、プロジェクト全体の概要スケジュールは最初に計画するが、工程の中の詳細レベルまでは計画しない。段階的詳細化とは、直近の作業はある程度見通しが立っているので、今回の例では要件定義工程は1日単位や、WBS単位で作業スケジュールを詳細化できるということである。

プロジェクトの発足

プロジェクトはプロジェクトオーナーに承認されることにより、発足する。
※通常、プロジェクトオーナーは、組織の長と呼ばれる人が該当する。

プロジェクトの発足と同時または早い時期に、プロジェクトマネージャを任命する。

プロジェクトマネジメントとは?

プロジェクトマネジメントとは、プロジェクトの要求事項を満足させるために、各種の知識・経験・ツール・儀表を用いてプロジェクト活動へ提供することである。

具体的には、プロジェクトの要求事項の特定をすること。プロジェクトの立ち上げ、計画、実行、監視・コントロール、終結の5つのプロジェクト・マネジメントプロセスを実行すること。ステークホルダーのマネジメントをすること。作業スコープ、品質、コスト、タイムマネジメントを実行し、プロジェクトの統合的なマネジメントを行うことを指す。

プロジェクトマネージャとは?

プロジェクトマネージャは、プロジェクトの目標達成に責任を持つ人。プロジェクトマネージャは、プロジェクト発足時やプロジェクト憲章作成時までにプロダクトオーナーから任命される。

プロジェクトマネージャは、プロジェクトを効率的かつ円滑にマネジメントすることが求められ、一般的なマネジメントスキルだけではなく、特定分野のスキルも求められる。

プロジェクトマネージャの権限

プロジェクトマネージャの権限レベルは、企業の方針によって異なる。また企業がどのような組織構造をとっているかによっても異なる。

プロジェクトマネージャの権限が最も大きい組織は、プロジェクト型組織である。プロジェクトマネージャの権限が最も小さい組織は、機能型組織である。

プロジェクトマネージャの役割と特性

プロジェクトマネージャは、機能部門のマネージャである課長や部長とは役割が大きく異なる。組織の構造によっては、機能部門のマネージャがプロジェクトマネージャを兼任することもある。

プロジェクトマネージャは、プロジェクト特有の知識やツールを使いこなすプロジェクトマネジメントのスキルのほかに、特定分野のスキルと、一般的なマネジメント能力が必要とされる。一般的に、以下の3つの特性が必要とされている。

  1. 知識:プロジェクトマネジメントに関する知識。
  2. 実行力:知識を活用し、プロジェクトを実行でき目標を達成すること。
  3. 人間力:コミュニケーション、リーダーシップなど優れた人間性を持つこと。

プログラムとは?

プログラムとは、プロジェクトの集まりのことである。各プロジェクトを個別に管理するより、集合体として管理することで全体として大きな効果を出すことを目的としている。会社などの組織もプログラムである。プログラムには複数のプロジェクトが存在するが、プロジェクト同士に直接の関連はなく、個々のプロジェクトのスコープ外のものも含まれる場合がある。

例えば、システム会社の中では事業部制をとっている組織が多い。事業部ごとに、ある程度一つのカテゴリでプロジェクトをまとめて、プログラムとして管理をすると、社員のスキルも一つのカテゴリで育成できるというメリットがある。

具体的には、エンジニアにもさまざまな業務分野によって必要なスキルが異なるため、ネットワーク系エンジニア、データベース系エンジニア、組み込み系エンジニア、など必要なスキルに応じて、事業部が分かれることがある。これは会社がそれぞれのプログラムとして管理しやすくしているためである。

プログラムマネジメントとは?

プログラムの要求事項を満たすためのマネジメント活動のこと。複数プロジェクトをマネジメントすることで、個々のプロジェクトをマネジメントするだけでは得られない利益を得るためのマネジメント活動である。

例えばプログラムとしては、以下のようなケースがある。
・Aプロジェクト(自社システム)
・Bプロジェクト(X社の金融システム開発)
・Cプロジェクト(Y社のシステムの運用保守)
・・・
プログラムは、A~Cプロジェクトをすべて含める。

プログラムとしてマネジメントすることで、例えばAプロジェクトで得たノウハウをB,Cプロジェクトに適用して、他プロジェクトで経験したノウハウを生かし、生産性を上げる施策ができるなどといったメリットがある。

ポートフォリオマネジメントとは?

ポートフォリオは、プロジェクトやプログラムなどを組織の戦略的目標達成のために、効率的にマネジメントするためにグループ化したもの。ポートフォリオ内のプロジェクトやプログラムは、同じポートフォリオでグループ化されていても必ずしも関連があるわけではない。

例えば、部門制度をとっている会社ではポートフォリオの例として以下のようなケースがある。

ポートフォリオの例
・ゲーム
・動画配信
・広告
・自社システム
・金融システム
・・・
など複数の事業領域で仕事をを行っている企業はポートフォリオが複数ある。

ポートフォリオは組織の経営戦略によって、「動画配信」のポートフォリオを強化するために、資金を投資するといった戦略をとりやすくするためのものである。

サブプロジェクトとは?

プロジェクトは管理しやすい単位に、プロジェクトを分割することがある。これをサブプロジェクトと呼ぶ。

一般的に一つのプロジェクトの規模が大きい場合は、複数のサブプロジェクトに分割し、サブプロジェクトごとにマネジメントを行う。

よくサブプロジェクトが用いられるのは、サブプロジェクトに分割した単位で一括請負の作業範囲にすることがある。

図の例では、Aプロジェクトが150名体制で、サブプロジェクトX,Y,Zの3つに分割し、X,Yは自社内で作業、サブプロジェクトZは協力会社へ一括請負で発注する、といったケースで、サブプロジェクトに分割する例である。

プロジェクトマネジメントオフィス(PMO)とは?

プロジェクトマネジメントオフィス(PMO = Project Management Office)は、プロジェクトの支援を行う組織のこと。次のような役割がある。

  • プロジェクトの訓練を実施する
  • プロジェクトの作業プロセスを整備する
  • 作業の標準化やテンプレートの作成を行う
  • プロジェクトで活用するツール・技法の検討を行う
  • プロジェクト資源の共有や調整を行う
  • プロジェクトのスケジュール、予算、品質の監視を行う
  • プロジェクトマネージャのサポートを行う

PMOの役割は一般的にプロジェクトの支援を行うことが多いが、プロジェクトの状況によってPMOが行うべき役割も変わり、プロジェクトを支援する立場から、プロジェクトを直接指揮命令する場合もある。

※参考)以下の図のPMOは、一般的な支援型のPMOのポジション。プロジェクトマネージャの支援を行う立場として、PMOの役割が置かれる。

PMOの役割に応じて、PMOは以下の3種類に分かれる。

支援型(supportive)PMO:
 プロジェクトの標準化、プロセス、テンプレートの整備など、
 プロジェクトマネジメントに必要な支援を行う。
 コンサルタントのような役割である。

コントロール型(Contorolling)PMO:
 プロジェクトをコントロールするために、
 ツールの適用、テンプレートの使用などを行う。

指揮型(Directive)PMO:プロジェクトの管理度合い(高)
 プロジェクトを直接指揮する。
 問題のあるプロジェクトなどで、
 プロジェクトマネージャでは対策が打てない場合などが該当する。

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